化学物質・有害物質による食中毒とは?
化学物質・有害物質による食中毒は、食品の生産・加工・調理・流通過程で意図せず混入した化学物質(農薬、洗剤、重金属、食品添加物など)を摂取することで起こる中毒です。
他の食中毒(細菌・ウイルス・自然毒)と異なり、「人為的ミス」や「管理の不備」によって発生することが多いのが特徴です。
主な原因と分類
1. 洗剤・消毒薬などの誤使用
原因物質 | 用途 | 症状 | 主な原因 |
---|---|---|---|
次亜塩素酸ナトリウム | 消毒剤(厨房用) | 嘔吐、喉の痛み、胃の痛み | 食器の洗浄後に十分なすすぎを行わなかった |
界面活性剤 | 食器洗剤 | 吐き気、下痢、口腔内の炎症 | 高濃度の誤使用・誤飲 |
アルカリ洗浄剤(苛性ソーダなど) | グリーストラップ・油汚れ除去 | 激しい粘膜障害、胃腸障害 | 誤って食品に混入、誤飲事故 |
2. 農薬・殺虫剤の残留や誤使用
原因物質 | 症状 | 主な原因 |
---|---|---|
有機リン系殺虫剤 | よだれ、嘔吐、呼吸困難、意識障害 | 農薬の過剰使用・残留 |
カルバメート系殺虫剤 | 嘔吐、腹痛、ふらつき | 洗浄不足の野菜など |
除草剤・殺鼠剤(パラコートなど) | 呼吸困難、肺線維症、死亡例あり | 誤飲または故意による混入事件も過去に存在 |
3. 重金属による汚染
金属名 | 主な症状 | 原因 |
---|---|---|
鉛 | 嘔吐、神経障害、貧血 | 缶詰や器具からの溶出 |
カドミウム | 腎障害、骨軟化症(慢性摂取) | 工業廃水に汚染された魚介類 |
水銀 | 神経障害(ミナマタ病) | 水銀汚染された魚(特に大型魚) |
4. 食品添加物の誤使用・過剰使用
物質 | 用途 | 症状 | 備考 |
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亜硝酸ナトリウム | 発色剤(ハム・ソーセージ) | 頭痛、吐き気、チアノーゼ | 規定量を超えると毒性を持つ |
ホウ酸・ホウ砂 | 防腐目的で使用された例(禁止) | 嘔吐、下痢、腎障害 | 現在は食品使用禁止だが、誤用例あり |
サッカリン・チクロ(旧甘味料) | 甘味料 | 発がん性の疑い(使用制限あり) | 海外で使用制限されるが一部で流通 |
症状の特徴
分類 | 主な症状 | 発症時間 | 備考 |
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アルカリ・酸性洗剤 | 嘔吐、粘膜刺激、胃痛 | 即時〜数時間 | 強い腐食性あり |
農薬・殺虫剤 | 呼吸困難、神経症状、けいれん | 数分〜数時間 | 重症化リスクあり |
重金属 | 慢性中毒(神経障害、腎障害) | 長期摂取 | 地域性公害と関係する場合も |
添加物 | 吐き気、頭痛、アレルギー様反応 | 数時間〜 | 基準値超過での健康被害リスク |
予防方法
- 厨房での化学物質の保管・識別を徹底
- 食品とは別に保管し、「誤飲・誤混入」防止
- 洗剤・消毒薬の使用後は水で十分にすすぐ
- 次亜塩素酸ナトリウムは特に要注意
- 農薬使用時の「使用基準・希釈倍率」の厳守
- 市販の野菜や果物はよく洗ってから調理
- 重金属汚染のリスクがある水域の魚介類は避ける
- 特に妊婦・子どもは水銀の影響を受けやすい
- 違法な食品添加物の使用を避ける
- 海外製品や個人輸入品には注意
緊急時の対応
- 誤って飲食した場合:
- すぐに口をすすぎ、医療機関へ
- 製品ラベル・成分情報を持参(医師の判断材料になる)
- 誤飲が洗剤や薬品の場合:
- 無理に吐かせない(刺激性があるため、逆に危険)
- 中毒110番(日本中毒情報センター)に連絡
一般専用電話
大阪:072-727-2499(24時間)
つくば:029-852-9999(24時間)
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