自然毒による食中毒とは?
自然毒とは、自然界に存在する動植物や微生物が持つ有害な化学物質です。これらを含む食品を摂取することで発症するのが「自然毒による食中毒」です。多くの場合、人間が誤って有毒なものを「食用」として摂取してしまった結果、発生します。
原因別に分類
1. 植物性自然毒
原因物質 | 食材例 | 症状 | 特徴 |
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アコニチン | トリカブト | 嘔吐、痺れ、呼吸困難、心停止 | 極めて強い毒性。根や葉を山菜と誤食 |
ソラニン・チャコニン | ジャガイモの芽、緑化部分 | 嘔吐、下痢、めまい | 加熱しても完全には分解されない。摂取量に注意 |
アミグダリン | アンズ・モモ・ウメの種(仁) | 青酸中毒症状(痙攣、意識障害) | 種の中の白い部分に注意 |
スイセン毒 | スイセンの球根や葉(ニラに類似) | 嘔吐、下痢、痙攣 | 見た目がニラやタマネギに似ているため注意 |
毒キノコ | ツキヨタケ、テングタケ、カエンタケなど | 吐き気、幻覚、肝機能障害、致死例あり | 毎年死亡例がある。素人判断は危険 |
2. 動物性自然毒
原因物質 | 食材例 | 症状 | 特徴 |
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テトロドトキシン | フグの肝・卵巣など | 麻痺、呼吸困難、死亡 | 加熱しても毒性が残る。フグは有資格者のみ調理可 |
シガトキシン | 熱帯魚(バラフエダイなど) | 神経症状(手足のしびれ、味覚異常) | 熱帯魚の食物連鎖で蓄積される毒。熱に強い |
サキシトキシン | 二枚貝(ホタテ、アサリなど) | 呼吸麻痺、死亡 | 貝毒。定期的に自治体が検査・出荷制限 |
ヒスタミン | マグロ・カツオなど赤身魚 | じんましん、頭痛、呼吸困難(アレルギー様) | 不適切な保存で増加。加熱では無害化できない |
3. その他
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ベニテングタケやカエンタケなどは触るだけでも危険。
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毒キノコや山菜の誤認は、高齢者による野山採集で多く発生しています。
主な症状の例
毒の種類 | 症状の例 | 発症時間 | 特記事項 |
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神経毒(フグ毒、貝毒など) | 麻痺、呼吸困難、意識障害 | 数分〜数時間 | 致死性が高い |
消化器系毒(ジャガイモ、スイセンなど) | 嘔吐、下痢、腹痛 | 30分〜数時間 | 自然に回復する場合もあるが油断禁物 |
アレルギー様反応(ヒスタミン) | 発疹、頭痛、動悸 | 数分〜数時間 | アレルギーと類似の反応だが毒性物質が原因 |
予防方法
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野生植物・キノコを自己判断で採取しない
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図鑑やアプリの知識に頼らない
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毒キノコは形や色だけでは判別不可能
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ジャガイモの芽・緑化部分は必ず除去
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特に小さい子どもが摂取しないよう注意
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スイセンや園芸植物を食用野菜と間違えない
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スイセンは花だけでなく、葉もニラに酷似
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貝類や熱帯魚は出荷規制を守って購入
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漁協や行政の情報を確認
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フグは資格を持つ調理師に依頼する
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自家調理・素人料理は絶対にNG
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食べてしまったらどうする?
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すぐに医療機関を受診
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可能であれば摂取した食品を持参(診断に役立つ)
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嘔吐を無理に促さない(特に神経毒では危険)
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